妄想金魚


●薬なんかいらないゾ

僕たちはマメに世話をしてくれないと、すぐに病気になってしまう生き物だ。毎日観察していれば病気になったかどうかはすぐに分かるはずなんだよね。

お陰で彼女は良いのか悪いのか、暇さえあれば僕たちを観察している。まあ、僕も彼女を観察してるんだけどね。お互い様って所さ。


観察の成果かどうか微妙なのだが、コメットのビラちゃんの尾びれに白い点を発見したようだ。

僕が思うにはビラちゃんの白い点は気にするほどのものではなかったと思うのだが、神経質になってる彼女の頭には薬を使う事しか頭にないようだ。むしろ薬を使ってみたくて仕方ない様子。まったく迷惑な話だ。

普通は病気の金魚だけを別の水槽に隔離し、薬浴を行なう場合が多い。

しかし彼女は迷うことなく僕たちが入ってる水槽に薬を入れた。
(僕は病気ぢゃない!!)



「えーと・・・1Lに対して1サジでしょ。んーと、60cmの水槽だから何Lだっけ?」



おいおい・・・もう一度小学校へ行って来い。



「まっこれくらいの濃さでいいか。君たち1週間ガマンしてね。」



そして水槽の水は緑色に染まった。



この調子だと僕たちは緑色の金魚になるだろう。(新種)

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